観たいテレビもないので作業しながら流しておけるAmazonプライムビデオを探したけれど、映画はしっかり観たいので、以前観た事のある「空飛ぶタイヤ」のドラマ版を観た。
2018年に長瀬智也さん主演の映画版があったけど、私が観たのは2009年版の特別ドラマのもの。池井戸潤原作の社会派の物語で、実際にあった自動車大手、大企業のリコール隠しを主題にした話。私は2005年から2007年までメーカーで働いており、このドラマに出てくるような現場の雰囲気の近くにいたので、細部の空気感がよくできていることがとてもわかる。配役が絶妙で、主人公である中小企業の社長役の仲村トオルさんをはじめ、どの俳優さんもその役柄のキャラクターが見事にマッチしていて、いかにもその立場の人にいそうな雰囲気だった。それは顔つき含め、それぞれの演技にわざとらしさがなくてとてもいい。わざとらしさが無いのはカメラワークや場所や細かい設定にも余計な脚色が無く、いかにもありそうな雰囲気だから。中小企業、大企業の事務所の雰囲気やそれぞれの家のリビングの雰囲気まで然もありなん、という感じ。映画版の予告を見たけどこちらはちょっと大げさで私には無理っぽかった。下町ロケットもちょっと違ったな。結局主なテーマの筋と細部の表現が肝であって、感動させたさや恣意的な脚色、細部のリアリティのなさは観てる側の想像力を削ぐ、ということ、自分の制作にも通じるところがあるので気をつけないと、と思った。
初めて観た時に、尾野真千子さんと柄本佑さんが印象に残っていて、知らない俳優さんだけど目の演技が繊細で印象に残っていた。尾野真千子さんは「火の魚」と同じ人なのだと後で分かって、役によって全然別の人みたいになるんだとそのとき分かった。のちに朝ドラのカーネーションでブレイクする彼女だけれど、その後の配役はそれを意識しすぎてか、主張の強い役ばかりでちょっと残念。彼女は影のある物静かな演技での良さをもっと見たいのだけれど。柄本佑さんはすっかり売れっ子になったなあ。
責任のたらい回しで答えが一向に見つからない感じとか、古い体質の大企業にありそうな閉塞感みたいなものがよく表されてるドラマだった。でも実際の現場はそれを100倍くらいにした感じなんだろう。
このドラマを見直した時に最近の政治のことを思ってしまった。今の政治はこれよりももっとお粗末だと思うけれど、がんじがらめになったサンクチュアリの中でまともな人の意見の通らなさややる気を削いでいく感じは政治の中でもきっと同じようなことが起こっているのだろうな、と思いをはせる。
心の底ではまだモノづくりに関しては多少思いがあるんだなあと自分で思い返した今日だった。あの渦中に戻りたいなんてことは微塵も思わないけれど。
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